大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(ネ)2364号 判決

ところで、以上認定の各事実に徴すれば、控訴人が本件建物の買取請求権を有することは明らかであるところ、凡そ、建物買取請求権はいわゆる形成権の一種と考えられ、その消滅時効については、それが特定人に対して行使されるものであるから、債権のそれと同視されるべきもので、その時効期間は民法第一六七条第一項により一〇年と解すべく、また、その起算点は右権利行使が可能となつた時点、すなわち、賃借権の譲渡ないし転貸を承諾しないという賃貸人の意思が建物譲受人に明らかになつたときから進行するものと解するを相当とするところ、原審証人池川忠雄、同池川マキの各証言に原審における被控訴人本人尋問の結果を綜合すると、控訴人が訴外笠原栄一から昭和三〇年七月二日に本件建物を買い受けたことを被控訴人が知つたのは、右買受けの日から一五日位経つた後であり、右事実を知つた被控訴人は直ちに控訴人に対し本件土地の転借権の譲渡ないし転々貸を承認しない旨申し伝えたこと、従つて、被控訴人の右伝達は少なくとも昭和三〇年七月末日までに行われていることが認められ、右認定に反する原審ならびに当審における控訴人本人尋問の結果は前記各証拠に照しにわかに信用できないし、その他控訴人の右主張を認めて右認定を覆すに足る証拠はなく、控訴人がその主張にかかる本件建物の買取請求権を行使したのは昭和四一年四月一一日午前一〇時の当審第二回口頭弁論期日においてであることは本件記録に徴し明らかである。

右認定事実によると、控訴人において本件建物の買取請求権の行使が可能となつた時期はおそくとも昭和三〇年七月末日においてであり、控訴人が被控訴人に対し該権利を行使したのは、右権利行使が可能となつた時から一〇年以上を経過した後である昭和四一年四月一一日であるから、控訴人主張の被控訴人に対する買取請求権はすでに消滅時効によつて消滅しているものといわねばならないから、控訴人の右買取請求権についての抗弁はこれを採用するに由ない。

(高井 満田 弓削)

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